MBP-426:
MBP-426
は、オキサリプラチンをAPIとして当社のリポソームに内封したDDS製剤です。
オキサリプラチン(Oxaliplatin)はプラチナ製剤と呼ばれる抗がん剤です。
5-FU(フルオロウラシル)、ロイコボリン(LV)と併用する化学療法(FOLFOX)が日本でも承認されており、
主に大腸がんの治療に使用されます。非常に優れた抗腫瘍効果を示しますが、他の抗がん剤と同様、
強い副作用をもっており、特に多くの場合、末梢神経障害を引き起こします。
MBP-426は、オキサリプラチンを当社のリポソームに内封することにより、血液中での半減期を向上させ、がん細胞へのアクティブターゲティングによる薬物の運搬を実現させました。これにより、がん細胞への集積率を向上し、オキサリプラチンの効果と安全性の向上、そして副作用の減少を可能にします。
現在アメリカのMDアンダーソンがんセンター(以下MDA)をはじめとする複数の施設によりPhase2の臨床試験が行われています。
この情報は下記のウエブサイトからご覧いただけます。
□Clinical trials. gov →
□MDアンダーソンがんセンター(米国、テキサス州)
Phase I →
Phase II →
□Mary Crowley Cancer
Reseach Center(米国、テキサス州) →
□Huntsman Cancer
Institute(米国、ユタ州) →
MBP-Y003:
MBP-Y003
はメソトレキサートをAPIとして当社リポソームに内封したDDS製剤です。
メソトレキサート(methotrexate,
略称MTX)は葉酸の働きを阻害し、がん細胞を死滅させる抗がん剤(葉酸代謝拮抗剤)であり、単剤としては白血病の治療に、他の薬剤との併用でさまざまながんへの適応が認められています。また、抗リウマチ剤としても使用されます(MBP-Y003b)。副作用が現れやすく、多くの患者に悪心、嘔吐、口内炎などが現れます。リポソームに内封することにより、血中での安定性および滞留性が増し、これまでの投与量、回数を減らすことが可能となり,患者のQOLの改善が期待できます。更に、トランスフェリンによるアクティブターゲティングにより抗腫瘍効果が向上するものと考えられます。
Y-003は現在臨床前段階にあります。ゼノグラフトモデルによる実験により、抗腫瘍効果がみとめられました。この結果は2007年4月に開催されたアメリカ癌学会においてポスター発表されました。
本発表の要約はこちらのウエブサイトからご覧いただけます。(abstruct
No.5650で検索してください。)
MBP-Y003b:
MBP-Y003bはMBP-Y003と同様メソトレキサートAPIとしたDDS製剤で、関節リウマチを適応症としたものです。
関節リウマチ(rheumatoid arthritis,
RA)などの炎症性の病気では、炎症を起こしている血管が透過性亢進状態*となっており、通常は通過しないナノサイズの粒子が優先的に組織の中へ溢出する性質があります。
その上、活性化した免疫細胞にはトランスフェリン受容体が多く出現しており、
Y003bのトランスフェリンと結合することでMTXの吸収を促進します。
MTXは関節リウマチをはじめ、様々な慢性の炎症性疾患に免疫抑制性、抗炎症性の治療薬として使われてきました。
MTXは関節リウマチ治療のための標準薬とされていますが、15%の患者はMTXによる効果が見られません。そして、多くの患者様に嘔吐や悪心などの副作用が見られます。近年、抗腫瘍壊死因子(antiTumor
Necrosis Factor;
anti-TNF)アルファ(α)抗体の有効性が認められ、新しい治療薬として使われ始めていますが、MTXとの併用が必要, あるいは推奨とされており、MTXの関節リウマチ治療における重要性は現在でも非常に高いと言えます。
MBP-Y003によってMTXの有効性と安全性を向上することにより、さらに関節リウマチの治療が効果的になります。
MBP-Y004
MBP-Y005:
MBP-Y004はドセタキセルを、MBP-Y005はゲムシタビンをAPIとしたDDS製剤で、現在初期的毒性試験を完了しさらに必要な前臨床試験を開始すべく準備しております。
ドセタキセル(Docetaxel)は、タキサン系の抗がん剤で、乳がん、肺がんなどの治療に使用されています。白血球の減少、血小板の減少、むくみ、毛が抜けるなどの副作用があります。
ゲムシタビン(Gemcitabine)は非小細胞肺がん、すい臓がんの化学療法に標準的に使用されています。白血球の減少、血小板の減少などの副作用があります。
当社のリポソームに内封することにより、それぞれのAPIの安全性、有効性を高めることができます。
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